第1回でポートフォリオの概要とデザイン業界をターゲットにしたポートフォリオの作り方、第2回で惜しいポートフォリオの例と改善例について解説しました。
今回は自身が経験した業界別(ゲーム業界、WEB業界、イラストレーター、漫画家)のポートフォリオ例について解説します。
参考になるか分かりませんが私自身が経験した業種を元に、その時に見せた作品集に関するポイントや傾向について自身の偏見を含めて解説します。
基本的に全てPhotoshop(psd)画像をIllustrator(ai)でレイアウト・文字入れして作成しています。
この記事の目次
新卒で入社した某ゲーム会社に送ったポートフォリオの内容の一部です。
学生時代に作成した作品ばかり、懐かしいです。
- 表紙
- プロフィール
- メイン作品(1/8フィギュアと設定画、世界設定、制作過程)
- アナログイラスト(アクリル等)
- デジタルイラスト(Photoshop、Illustrator)
- 鉛筆デッサン
作品ページは作品タイトル、制作年月日、使用した画材やツール、作品コンセプト、作品コメント、ラフや制作過程を記載しています。フルスクラッチで作った1/8フィギュアを載せいています。
フィギュアキャラの設定や世界設定、勢力図等々、私の妄想帳みたいなものですね。
中二病テイスト満載です。
クドイくらいに過剰な装飾
作品集のガワ部分(UI)は控えめに、あくまで作品が引き立つように作る、というのがポートフォリオの基本ですが、そんなモンは無視してUI周りもゴッテゴテにクドイくらいにデザインしていました。
程度にもよりますが、大阪のゲーム会社を目指すなら個人的にはゴテゴテくらいで丁度いい気がします。
「大阪」であって、東京は知りません。
情報量が多くてうるさければ適度に抜いてスッキリさせたらいいだけです。
最初の制作段階では情報が「無い」より「ある」方が面白いです、個人的には、ですが。
勿論作品の品質にもよりますが絵と文字だけでスッキリさせてみました的な作品集より、イチイチ各所に中二病テイストを散りばめたような作品集の方がゲーム系の方には受けが良い気がします。
オタク気質の人が多い業界ですからね。
キャラの細かい設定、UIのちょっとした所にもこだわって世界観を表現、そんな事が大好きな方が多いのがゲーム業界です。キャラの説明文の所にそのキャラ特有の紋章みたいなので装飾してみたり、ちょっとしたこだわりとか見てます。
目指している業界の方が面白がりそうな見せ方をすると良いかもしれません。
自身の「変態性」を表現
私の知ってるゲーム会社では、作品の品質も重要なのですが、何よりも自身の持っている「変態性」を隅々まで表現したポートフォリオの受けが良かったです。
(同期の女性は空飛ぶ巨大なチ〇コに乗った女の子の絵を載せていました。最高です!)
技術的な事は後から付いてくるので、品質より「コイツおもろい発想しとるなぁ~」みたいなのが全面的に出ている「尖った作品集」が喜ばれる傾向にありました。…もしかしたら稀なケースかもしれませんが。
なおバリバリの3Dゲーム制作会社に就職したのですが、CGの知識ゼロでも受かりました。
もちろんCGの知識はあった方が良いですが、入社後3か月もすれば業務で使えるレベルになります、というか「精神と時の部屋的な感じで強制的にさせられます」。(今も同じなら問題でしょうが…)
新卒の方は技術的な事もそうですが、何よりも「変態性」や「独自性」が重要かと思われます。
(中途採用だと話が変わりますが…)
ゲーム業界を目指している方なら一冊くらいは持っているであろうゲームやアニメ、何かしらの「設定資料集」、そういったモノの構成を参考に作成してみると楽しいものが出来上がるかもしれません。
会社在籍時に描いていた作品や3DCG等を学生時代のA4サイズのポートフォリオベースにバージョンアップさせたもの&手がけたゲーム単品の作品集の一部です。
自身オリジナルのポートフォリオ
- 表紙
- プロフィール
- 3DCG作品
- イラスト
- 鉛筆デッサン
- 裏表紙
ベースのガワは学生時代に作ったものを流用して改造しています。
大きな違いはゲーム会社で得た3D技術を使った作品をメインに掲載した所です。
ゲーム系CGメインでやっていた頃なので、3D系作品の傾向が強いです。
なお全体的にSFっぽいデザインに仕上げました。
ちなみに入社2年目くらいから追加・改修。
3年後に最初のゲーム会社を卒業しました。
携わったゲームのポートフォリオ
- 表紙
- 作品&手掛けたパートの解説
- 成果物(エフェクト、モデル、UI)
- 別途エフェクトの動画DVD
- 裏表紙
手掛けたゲーム専用のポートフォリオはゲームの世界観で作成しています。
よりゲーム業界に特化し、自身の個人作品とは別に、手掛けたタイトル用のポートフォリオを別途作成し、技術的な部分をアピールするポートフォリオに仕上げました。
また、エフェクトデザイナーだったので対象のエフェクトをキャプチャして動画にしたものも作成していました。動きを見ないとゲームのエフェクトは伝わらないですからね。
今の時代なら限定公開にしたYouTubeにアップすれば、DVD等のメディアに焼く必要はありませんよ。
Web系ではなくゲーム系のデザイナーを主として働いていた頃は、タイトル別で5冊作成して活用していました。
毛色が違う業種なのですが、イラストレーターと漫画家をしていた事もあるので一応掲載しておきます。
新卒入社のゲーム会社退社後に趣味がてらに参加していた某同人誌即売会で雑誌編集の方にお声がけいただき、某雑誌で漫画(エロいやつ)を描いていました。
当時の画力でも商業誌で描けましたので目安程度に、どこかで見たことのある女の子ばかりですが。
- 漫画の担当にお見せしたのはイベントで出していた同人誌5冊(各28p漫画)+ pixiv
- 別会社のイラスト業務も同様に既刊の同人誌5冊 + pixiv
A4ファイルのポートフォリオは見せていません。
というか見せる必要がありませんでした。
イラストレーター・漫画家等の絵をメインにされている方は、最低限制作対象の絵のみ確認できればOKかと思われます。使用できるツールは多いに越したことはありませんが、クリスタだけでも問題ありません。
勿論キッチリしたポートフォリオがあれば尚良いのですが、業務内容である「イラスト」や「漫画」の完成した成果物が確認できれば問題ありません。
印刷された本でなくてもDL販売中のデータがあれば販売URLの提示だけで十分です。
私の経験上、ポートフォリオ制作に割く時間を作品制作・イベント参加に費やして業界関係者と知り合う機会を増やすという方が可能性アリかな、という気がします。
漫画業務やイラストレーター業務から派生してとあるスマホゲームのメインキャラデザとUI・UX、そしてアートディレクターをしていました。そのときに必要だったものが下記です。
- ゲームのコンセプトに合った新規キャラ
- 既刊同人誌や漫画やpixiv
- 過去のポートフォリオ(担当案件を追加)
元々キャラ業務メインの仕事内容だったので、イラストレーター・漫画家と似たような見せ方で問題ありませんでした。
今までと少し毛色の違う業界でWEB制作会社に就職した時に見せた内容です。
この会社ではA4に印刷したポートフォリオが必要でした。
- 表紙
- プロフィール
- WEB案件
- UIやDTP等
- ゲームCGやイラスト等
- 裏表紙
見せ方も余白を生かして小綺麗にスッキリと、ゲームではないので業界に適した表現をします。
WEB会社なので基本的にWEBとUI、DTPとかデザイン系をメインに、ゲーム業界やイラスト・漫画等は最後にサクッと載せていました。ゲームとWEBは分野が違いますからね。ゴテゴテ載せたくなるけど、そこは抑えて一部だけ、あとは面接で語れば問題無いです。
受ける会社によってポートフォリオをカスタマイズをしておく方が良いでしょう。
同じパターンのポートフォリオで10社受けるより、各社にカスタマイズしたポートフォリオを用意して2社受ける方が内定を貰える可能性が高いです。
ちなみにWEB会社で作画スキルがあると、割と食いつき良いかもしれません。
会社の規模によってイラストレーターを社員として雇っている所もあれば外注に依頼している会社もあり、形態は様々です。
Web会社はデザインができても複雑な作画ができる方はそこまで多くなかったので、社内で独自路線の価値を生む可能性が十分にあります。
会社によってフロント未経験、コーディング知識ゼロでもアピール次第でデザイナー、イラストレーターとして採用される可能性がありますよ。
紙媒体やPDF形式で作成したポートフォリオの品質を手っ取り早く高めるには、高品質なテンプレートの活用が最も効率的かつ効果的です。
商用利用可能で高品質テンプレートばかり厳選!
今まで意識しなかった多くの「気づき」に出会えますよ。
※なお、ポートフォリオ制作はInDesign(インデザイン)を使うのが最も効率的です。
コチラでインデザ初心者の方向けにポートフォリオテンプレートの使い方を詳しく解説しております。
2時間あればポートフォリオが作れます。
編集にはInDesignが必須、未導入の方はInDesign公式サイトから入手しておきましょう。
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A4に印刷したポートフォリオ、PDF形式、どちらも短時間で作成可能です。
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作品を大きく見せる、制作過程を見せる、複数見せる、横長作品を画面内に綺麗に収める等、どんなパターンにも当てはめる事が可能ですよ。
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単色に文字だけで構成した表紙も素敵です。
ページ中身のレイアウトパターンも豊富、あえて表紙をシンプルにする手法もアリですよ。
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下記リンクで多数の高品質なポートフォリオテンプレートを紹介しています!
参考になるか分かりませんが、ゲーム業界、WEB業界、イラストレーター、漫画家といった業種に向けたポートフォリオに関するアドバイスでした。
人それぞれ作る内容も違えばポートフォリオの仕上がりも全く別物になります。
同じ業界を目指している人でも全く毛色が違いますからね。
よってその道に入る為の手段も人それぞれ。
上記は私が実践してきた内容ですが、必ずしも他者に当てはめられるか、それは不明です。
「へー、そんなパターンもあるのね」程度で参考にしてもらえれば幸いです。
ではまた!
デザイナーの就職・活動に必要なポートフォリオに迷った際に参考にしてください。
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